掌編小説


掌編小説 10年目のチューリップ通信 を書きました。
お時間があるときにどうぞ。

春の光というのは、実にお節介だ。

冬の間、私たちが「寒いから」と見て見ぬふりをしてきた庭の隅っこ。具体的に言えば、雑草と謎の石ころが絶妙な調和を保っていた「魔の三角地帯」を、これでもかとスポットライトで照らし出す。

「あっ、今年も出てきた」

隣で妻が小さく声を上げた。スポットライトの先、少しだけ温まった土の中から、ピンと背筋を伸ばした赤と黄色のチューリップが咲き誇っている。

それは10年前に亡くなった義母が残した、いわば「予約投稿」のような花だった。

冒頭部分より




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